婚約指輪のダイヤモンド、優先すべきポイントを解説
婚約指輪(エンゲージメントリング)は、婚約記念品として贈られるダイヤモンドリング。
ダイヤモンドリングといっても幅広いジュエリーがありますが、正確には価値の高いダイヤモンドをまとった指輪を婚約指輪として贈る。
というイメージになります。
つまり、婚約指輪選びとは、ダイヤモンド選び。
予算に合わせて、より優れたダイヤモンドを手にできるかどうかが大きなポイントとなります。
しかし、ダイヤモンドといってもクラスは様々でピンキリであり、無数に存在します。
そこで今回は、婚約指輪のダイヤモンド選びで優先すべきポイントを解説しておきます。
目次
ダイヤモンドの4Cを知っておく
ダイヤモンドには、4Cと呼ばれる世界共通で定められた価値基準(グレーティングシステム)が存在しています。
これはルビーやサファイアなど他の宝石にはなく、ダイヤモンドにだけ設定された基準です。
この4Cは、1つのダイヤモンドを4つの指標でグレーティングし、その総合評価で価値を決めるものです。
つまりこの4Cはどのメーカーでも、どのブランドでも、どの国であったとしても共通になるため、ダイヤモンド選びで最も大切なポイントとなります。
逆に4Cが明確であれば、どこに持っていっても同じ価値基準となるため、宝石の価値としては非常に取引がしやすく、安定しています。
これがダイヤモンドが婚約指輪として贈る宝石として人気な理由の1つでもあります。
まずダイヤモンド選びをするなら、4Cを知っておくことが最も大切です。
そしてこの4Cは単純明快、決して難しいものではありません。簡単に解説しましょう。
4Cの4つの指標とは、下記の通りです。
CARAT(カラット):重量・大きさ
COLOR(カラー):色味
CLARITY(クラリティ):透明度
CUT(カット):研磨の状態
それぞれ頭文字がCで4つの指標なので、4Cと呼ばれます。
これら4つの総合評価が、ダイヤモンド1つの価値となるわけです。
簡単に申し上げれば、
「より大きく(重く)、無色透明で、良質で美しいカットが施されていればいるほど、美しく、価値の高いダイヤモンドとなる」
わけです。単純明快ですね。
逆に、カラットが高くても色味がかっていて、透明度も悪く、研磨の状態が悪ければ、価値は一気に下がります。
極論から申しあげれば、世の中には無価値に近いダイヤモンドの方が多いのです。
そういったダイヤモンドは硬い特性を活かされ、工業用のダイヤモンドとして活用されていきます。
ダイヤモンドは希少なイメージですが、実は世の中にとてつもない量のダイヤモンドが流通されているんですね。
希少なイメージは、美しく価値の高いダイヤモンドのことになるわけです。
皆さんは、ダイヤモンドと聞くと、カラットを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
婚約指輪を贈られると、まず聞くのは何カラット??となるくらいです。
しかし気をつけなくてはならないのが、ダイヤモンドはカラットだけで価値が決まらないということ。
そしてカラットが高くても、質が悪ければ、カラットが低いダイヤモンドの方が価値が高くなるということです。
婚約指輪のダイヤモンド選びにおいて、4Cの仕組みをしっておくことは、最低限の知識です。
美しいことを条件に、カラットを優先に選ぶ
4Cという総合評価は大切ですが、4つの指標は細分化されており、無数の組み合わせになってしまいます。
そしてダイヤモンドも無数に存在するため、4Cそれぞれを細かな組み合わせで選んでいくのは、間違いです。
婚約指輪のダイヤモンド選びで大切なのは、カラットを前提となる目的にしておくことです。
つまり、カラット以外のカラー・クラリティ・カットは美しいダイヤモンドであることを条件にしておき、その範囲内でカラットを優先して選んでいくということです。
次の項目で詳しくご紹介致しますが、ダイヤモンドのカラー・クラリティ・カットは、一定の条件をクリアすると、肉眼での差はほとんど分からなくなります。
つまりその条件さえクリアしていれば、美しいダイヤモンドであることが言えるため、事足りるわけです。
一定の条件をクリアして、同じカラットのダイヤモンドであったとして、カラー・クラリティ・カットをこだわっていくと、価格は倍々に膨れ上がっていきます。
であればカラー・クラリティ・カットは条件をクリアしておけばという程度にしておき、カラットを優先した方が、見た目にも分かりやすくその差が分かります。
カラットを優先にして、他のクラスは広い範囲を持っておくことで、ダイヤモンド選びは非常にスムーズになります。
美しい条件とは
それでは具体的に美しいことが言える条件についてご紹介しましょう。
カラー(色味):Iクラス以上(肉眼で色味の発見が非常に困難・基本的に不可)
クラリティ(透明度):SI2クラス以上(肉眼で内包物の発見が非常に困難・基本的に不可)
カット(研磨の状態):VERY GOOD以上(とても良いカット)
上記を下限条件にしておけば、全く問題ないです。
なぜなら、上記条件をクリアしたダイヤモンドであれば、カラットはどうあれ、鑑定士が見ても肉眼で無色透明で、とても良いカットが施されている。
という総合評価になるからです。簡単ですね。
(上記条件は、ダイヤモンドで最も一般的な、ラウンドブリリアントカットの場合です)
細かな部分は気にせず、まずは上記を条件にして、カラットを優先的に選びましょう。
ある程度選定が済んだら、ある候補もしくは新たに出た希望(さらにカットにこだわりたいなど)と予算のバランスを見ながら、選定していけば大丈夫です。
ダイヤモンドは無数に存在し、宝石店に行っても多数の婚約指輪やダイヤモンドがありますが、こういった流れで選ぶことで、最適最上の選択肢を得やすくなります。
この考え方は、宝石店からすれば不都合な知識でもあります。裏を返せば、賢く購入ができる術でもあるわけです。
(筆者は宝石店でご提案する身分なので微妙な立ち位置ですが、お客様にはこの方法を必ずご紹介しています)
必ず0.3カラット以上で
0.3カラットのリング
美しければ、カラットはどんなものでも良いというわけでもありません。
カラットはダイヤモンドの印象を最も大きく左右する、最重要指標。
せっかくのダイヤモンドも、見た目の主張が弱かったりすれば、結局意味をなしません。
婚約指輪のダイヤモンドとしては、必ず0.3カラット以上で検討をしてください。
逆に0.3カラットを下回る0.2カラットや0.1カラットであれば、そもそもダイヤモンドをまとった婚約指輪として贈る必要性が薄れていきます。
0.3カラットを下回るのであれば、他の婚約記念品を検討しても良いでしょう。
婚約指輪は、価値の高いダイヤモンドを贈って、それを象徴的に指輪として身につける手段です。
つまり見た目に主張の弱いダイヤモンドであれば、本来の意味を全うすることができません。
昨今は値段を安くして販売しようと、0.2カラットや0.1カラットがおすすめで人気かのように販売している宝石店(特にブライダルリング専門店で顕著)が見受けられますが、正直信じられない。というのが本音です。
私がご提案する場合、0.3カラット以上のご予算が厳しい場合は、そもそも婚約指輪やダイヤモンドとしてのリングを見送ることをご提案します。
ジュエリーとは価値の証です。相応の価値で贈らなければ、安物買いの銭失いになります。そんな提案はお客様にはできないからです。
婚約指輪が全てではありません。ご予算が限られるのであれば、他のプレゼントなどで想いを伝えることは可能です。
話しが少し脱線しましたが、婚約指輪のダイヤモンドであれば0.3カラット以上を。
見た目の大きさの印象、リング全体でのデザインバランス、それら総合バランスが良質になる下限のカラットです。
全国における平均カラットは0.3カラットとなっていますが、これは予算というよりも、主張性の観点から選ばれているんですね。
0.5カラットのリング
理想的には、0.5カラットあたりだと非常にバランスが良いです。
0.3カラットあたりだと、お年を召していかれたときに物足りなく感じる方が多いからです。
(その場合は結婚指輪や他のリングと重ね付けをしたり、デザインで補填していく方法もあります)
インパクトなら、0.7カラット以上
もしダイヤモンドのみの主張性で、とにかくインパクトの強さを出したいなら、0.7カラット以上がおすすめとなります。
しかしデザインのバランスを重視される場合には、0.5カラットまでがおすすめです。
写真は0.7カラットのダイヤモンドリングですが、リングのほとんどのデザイン領域をダイヤモンドが担当するほど、大きいダイヤモンドであることがご理解頂けるかと思います。
これが1カラット、1.5カラット、2カラットとなっていくと、どんどん主張性が高まっていきます。
1カラットのリング
価値と主張性をとことん高めて、数字的にもインパクトを求めるなら、完全に1カラットオーバーが選択肢となります。
ジュエリーの業界内でも、1カラット以上のダイヤモンドはキャラ石と呼ばれ、特別なイメージです。
予算感としては、最低で100万円以上が必要となります。
1カラットまでは、0.1カラット毎に、10万円アップと考えるのが、最適価格のイメージです。
いかがでしょうか。婚約指輪で最も大切な、ダイヤモンド選び。
1つの答えは存在せず、とにかくご自身にとって、お相手の方にとって、どんな選択肢が最適であるかが大切です。
あとはご予算に合わせて最適な選択肢を得ることです。
今回の記事でご紹介したダイヤモンド・婚約指輪選びの知識をご活用頂き、より優れた婚約指輪選びを叶えて頂ければ幸いです。
そして最後に、必ずダイヤモンドの鑑定書があることをお忘れなく。
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