ダイヤモンドカットの種類とは?特徴や選び方、ダイヤモンドの知識を紹介
監修者 木村 勇太
婚約指輪によく使われるダイヤモンド。実はこのダイヤモンドにはさまざまなカット方法があります。
また、「ダイヤモンドであればなんでもOK」ではなくダイヤモンドの最適なカット方法、グレードなどの知識があれば、「ダイヤモンドの価値を最大限に高めたもの」を手に入れやすくなります。
今回は婚約指輪などでダイヤモンドを購入予定の方、ダイヤモンドに興味を持つ方に向けて、婚約指輪・結婚指輪を取り扱う弊社の視点から「ダイヤモンドカットの種類とは」「ダイヤモンドカットの選び方、基礎知識」「ダイヤモンドプロポーズとは」の3点を詳しく解説します。
決して安い買い物ではないダイヤモンド。購入の際に役立つ知識をぜひチェックしておきましょう。
目次
ダイヤモンドの評価は「4C」で決まる
「ダイヤモンドというと、大きければ大きいほど価値があるのでは?」とイメージしてしまいがちですよね。
実は、ダイヤモンドの価値は大きさだけではありません。何がダイヤモンドの価値を高めるのか、基本的なダイヤモンドの知識をご紹介します。
「4C」とは?
ダイヤモンドの評価を決めるのは「4C」です。
4Cとは、
- カラット(重さ)
- カラー(色)
- クラリティ(透明度)
- カット
のこと。これらの頭文字を取って、4Cと呼びます。
ダイヤモンド専門店などで「最高ランク4Cをそろえたダイヤモンド」と言われるのは、つまり「価値の高いダイヤモンド」という意味です。
この中でもカットは唯一人の手によって左右できるものであり、カラット・カラー・クラリティも大切なものながら、ダイヤモンドの輝きに大きな影響を与える要素でもあります。
「カット」は4Cの中で大切な要素
本記事ではダイヤモンドを評価する4Cのうち、カットに注目します。
この「カット」は4Cの中でも特に重要な要素。なぜなら、他の3つのCはダイヤモンド本来が持つ要素であるのに対し、カットは人の手で作るものでダイヤモンドの見た目にも大きく影響するからです。
ダイヤモンドをひと目見ると「輝きが強い」と感じますが、これはダイヤモンドの入射光がカットした内部の面で反射し、輝きをさらに増すようカットしているため。
大きさだけを重視したカットや、ダイヤモンドの輝きを放つ表面部分である「ファセット」が小さい、カットが甘いなどのダイヤモンドは、側面や底から光が漏れてしまいます。
カラット数の大きいダイヤモンド=重さのあるダイヤモンドなら価値があると考えてしまいますが、カットが不十分だとダイヤモンドの持つ輝きが十分に発揮できません。
実物を見てみると、「カットも大切」であることに気付くといわれています。
ダイヤモンドの輝きの秘密を解説
輝きを生み出す光の屈折とは?
人々がダイヤモンドに惹きつけられる要因となっているのが、その輝きの美しさです。どの角度から見ても、吸い込まれるような光の輝きがあります。では、なぜダイヤモンドはそのような輝きを放つことができるのでしょうか?
実は、その秘密に「光の屈折率」が大きく関係しています。
透明な材質の中を光が通過する際に、その光の進行方向が変えられてしまう現象があります。その現象のことを、「光の屈折」と呼んでいます。また、光の進行方向をどの程度の強さで変えてしまうのかを数値的に表したものが「屈折率」となります。
通常、光が斜めに差し込んだ際に、「空気とガラス」のように屈折率に差異があるほど光は大きく屈折させられます。なお、空気の屈折率は1.0%ですが、水1.3%、ガラス1.4〜2.0%、水晶1.5%、サファイア1.76%といった数値になりますが、ダイヤモンドはなんと【2.4%】と高い屈折率を誇っています。 つまり、ダイヤモンドに進入した光の進行方向は大きく変えられると言うことが分かります。なお、ダイヤモンドとよく特性が似ていると言われるキュービックジルコニアも屈折率は2.1%と高いです。
上記の図で見て取れるように、ダイヤモンドの上部から入った光は、ダイヤモンドが持つ高い屈折率の恩恵を受けて大きく進行方向を変えられ、それらを繰り返した結果、再び人の瞳へと戻ってきます。
※ダイヤモンドのカットは進入した光が戻ってくるように緻密に計算されています。
虹色を作り出す光の分散とは?
ダイヤモンドの輝きの秘密は光の屈折だけではなく、【光の分散】も大きく影響しています。光には紫・藍・青・緑・黄・橙・赤の7色が含まれていますが、光が屈折する角度はこの色ごとに差が出てきます。そのため、光の屈折時にさまざまな色の成分を見ることができますが、この現象を【光の分散】と言います。
ダイヤモンドは、特にこの光を分散させる力が強いため、虹色に輝くキラキラとした宝石となるのです。
さて、ダイヤモンドがなぜ人々を魅了する輝きを放つのか?について、詳しく解説してきました。ダイヤモンドはその高い屈折率と光の分散特性で美しく輝くのですが、加工前の原石の状態だと実はそこまで美しくありません。
4Cの中でも「カット」が重要視される理由は、この特性をどのように最大限活かしてあげられるかが、カットの精度で決まってしまうからです。
ダイヤモンドブリリアントカットとは?
ダイヤモンドの輝きを大きく左右するカット。このカットにはいくつか種類がありますが、そのうち特に「輝きを引き出す」とされるのがブリリアントカットです。
婚約指輪などでダイヤモンドに触れる場合には必ず覚えておきたい、ブリリアントカットについてまずはチェックしていきましょう。
7つのファセットを持つ形
宝石のカットには「光を放つ断面」がありますが、これをファセットと呼びます。
なお、ファセットを言い換えると「人の手によって研磨された面」となります。
ブリリアントカットには、7つの必須ファセットが含まれています。
- スターファセット
- ベゼルファセット
- アッパーガードルファセット
- ガードル
- ローワーガードルファセット
- メインパビリオンファセット
- キューレット
1から順にダイヤモンドの表面から底部分になり、指輪にすると「テーブルファセット」が表に見えます。
光学理論的にも「美しい」とされるカット方法
ブリリアントカットには歴史があり、誕生したのは1800年代です。58面体で正面から見るとラウンド(丸の形状)に仕上がるカットとして、アメリカで生まれました。
ダイヤモンドはそもそも希少価値があり、丈夫で美しいことから価値の高い宝石です。
このダイヤモンドの供給が安定すると、「いかに美しく仕上げるか」が重要になります。
研磨技術の進化により自由なカットができるようになると、数学者たちは光学理論を用いて「ダイヤモンドの輝きが最大限発揮されるのはどんなカットか」を考えるようになりました。
この中でも理想的な形であるのが、「ブリリアントカット」です。
ダイヤモンドの価値は極端にいうと、普段宝石に触れる機会が少ない方にとってはいまいちピンとこないかもしれません。
しかし、カットにこだわったダイヤモンドは理論的にも「輝きがある」ために、実際に見ると美しいと感じやすいのです。
「カットにこだわってダイヤモンド選びを」というのは、プレゼントした際に感動が大きい、見た目がとにかく華やか、市場価値も十分に認められているからだといえるでしょう。
ダイヤモンドカットの3つの種類
ダイヤモンドカットにはさまざまな種類があります。
大きく分けると、
- ブリリアントカット
- ステップカット
- ミックスカット
の3つになります。
先ほどご紹介したブリリアントカットも細かく分類できるため、どんな種類があるのかその特徴を押さえておきましょう。
ブリリアントカット
ブリリアントカットは、先ほどご紹介した基本的なラウンドのほかに「オーバルカット」「ペアシェイプ」「マーキースシェイプ」「ハートシェイプ」などの種類に分けられます。
オーバルカット
オーバルカットとは、表面が楕円形になったカット方法です。
表面積が大きくなり指輪にすると存在感が増し、上品・ゴージャスといった雰囲気を演出できます。
ペアシェイプ
ペアシェイプのペアとは、洋ナシのような形を意味します。
ティアドロップ型(しずく)になっており、先端の片方が細くとがっているのが特徴です。
指を細く長く見せてくれるうえ、ダイヤモンドが大きく見える豪華なデザインとして使われます。
マーキースシェイプ
マーキースシェイプは、ラグビーボールのようなカット方法のこと。
複数のダイヤモンドをセットし、花びらや葉っぱなどデザインリングとしても使えます。
主張しすぎないカットであり、他のカットに添えるものとしてサイドに配置されることも多いでしょう。
ハートシェイプ
ハートの形をしたカット方法のこと。
フェミニンでかわいらしい印象になり、リングのカラーゴールドと組み合わせたりとデザインを楽しめます。
ステップカット
ステップカットは階段状になったファセットが特徴のカット方法です。
「エメラルドカット」「スクエアカット」「バケットカット」などが有名なステップカットの種類。ダイヤモンドの存在感を高めることができます。
このほかにも「アッシャーカット」「テーパーカット」などがあるため、特徴を見ていきましょう。
エメラルドカット
エメラルドカットとは、エメラルドをカットするために生み出された方法です。他のカットと違いファセット数が少なく、ダイヤモンドの透明感を楽しめるのが魅力といえます。
スクエアカット
スクエアカットとは、縦と横の長さが同じ正方形のカット方法です。
ファセット数が少ないため輝き感は少なく、透明度を楽しむためのデザインです。
バゲットカット
バケットカットは長方形のカット方法。エメラルドカットと似ていますが、バケットカットは角を残しシャープな印象に仕上がっています。
アッシャーカット
アッシャーカットとは、エメラルドカットを正方形にしたものです。
角が丸みを帯びているため柔らかな印象になり、ファセットも多くなる分輝きも強くなります。
テーパーカット
テーパーカットには「傾く」という意味があり、細長い台形のフォルムをしたカット方法です。
複数並べることにより、美しいラインを形成します。
ミックスカット
最後はミックスカットです。
ブリリアントカットとステップカットを組み合わせたものであり、ブリリアントカットの輝きとステップカットのデザイン性両方を備えたものといえるでしょう。
プリンセスカット
プリンセスカットは、ステップカットのような四角い形をしています。
ファセットが非常に多く、光を受けると強く輝くのが特徴。ダイヤモンドのきらめきを楽しめるカット方法です。
婚約指輪のダイヤモンドカット、選ぶ基準とは?
ダイヤモンドは婚約指輪に使われる人気の高い宝石です。
婚約指輪を渡すプロポーズでは、間違いのないダイヤモンドカットの選択をしたいですよね。
そこで、ここからは選ぶ基準をご紹介します。
「カットグレード」の高いものを選ぶ
カットにはグレードが分かれており、
- Excellent
- Very Good
- Good
- Poor
で評価されます。
カットグレードの高いダイヤモンドは輝きが大きく、宝石の中に入る光をうまく反射します。
一方で、カットグレードが低い宝石は、光がうまく反射せず通り抜けてしまうため、ダイヤモンドを上部からを見たときに底部が透けて見えることがあります。つまり、グレードが低いと本来の宝石の持つ良さを発揮できないため、可能な限りカットグレードはExcellent・Very Goodなどキレイで正確にカットされたものを選ぶことが良いでしょう。
また、上記の述べている「カットの等級」は、下記3つの総合評価によって決定されます。
・ポリッシュ(研磨状態)
ファセット面(カットされた面)がどの程度丁寧に研磨されているかを評価しています。例えば、黒い車をコンパウンドで研磨した時、研磨が雑だと太陽の光が当たった際に、磨き傷が見えてしまいますよね。逆に綺麗に研磨されていると、吸い込まれるような艶のある面になります。
・シンメトリー(対照性)
ダイヤモンドがどの程度左右対称かを評価しています。削り出しや研磨の過程で、左右対称に加工ができていないと、冒頭でも述べた通り光の屈折がうまく繋がりません。
・プロポーション
ダイヤモンドの形状詳細をGIA基準に従って表記したものです。
【鑑定士直伝】婚約指輪に使用するダイヤ カットの選び方とは?
限られた予算の中で、何を取捨選択するかは、私たちが購買活動を行う上で避けては通れません。そして、それがダイヤモンドの場合、自分にとって良い品質選択とは何でしょうか?
私たちが考えるカットの必要十分な品質は、Very Good以上だと考えています。 実際、宝石の本質的な評価は「肉眼で見て美しいと感じるか」なのです。そして、ダイヤカットのExcellentとVery Goodの細かな輝きの違いを肉眼で見分けることは難しいです。
上記より、正しい評価基準を知った上で、Very Goodでもあなたが十分美しいと感じるのであれば、「カットはVerry Goodに抑えて、予算内のカラットでダイヤを購入する」が正解です。
一方で、Very Goodでは美しくないと感じるのであれば、「カットをExcellentにして、予算内のカラットでダイヤを購入する」が正解となります。
また、ダイヤモンドを購入する際には、正しい評価基準を知っておくことは大切ですが、さまざまな選択肢を持ち合わせておくことも重要です。
なお、EIKAでは、下記リストの通り予算に合わせて、柔軟にダイヤモンドの4C(品質)を選ぶことができます。
さらに、EIKAではお客さまに沿ったプロポーズの方法もご提案することが可能です。
①リングでプロポーズ
②ダイヤモンドでプロポーズ (ダイヤモンドを先に女性に贈り、後から女性に好きなデザインを選んでもらうプロポーズ方法)
関連記事:ダイヤモンドプロポーズとは?人気の理由とプロポーズの流れを解説!
ダイヤモンドプロポーズは噂のEIKAで
婚約指輪に使われるダイヤモンドですが、実際にプロポーズでプレゼントしようとするとさまざまな問題があります。
その困った点を解決するのが、ダイヤモンドプロポーズ。
ダイヤモンドの婚約指輪が持つデメリット
いざダイヤモンドの婚約指輪でプロポーズをしようとすると、
- 指輪のサイズがわからない
- 婚約指輪のデザイン選びで迷う
- 相手は指輪を求めていなかったみたい…
などの問題が起こります。これらのデメリットを補うのがダイヤモンドプロポーズです。
ダイヤモンドプロポーズとは?
ダイヤモンドプロポーズとは、婚約指輪の代わりにダイヤモンドを用意しプロポーズするスタイルです。
相手の指輪の好みやサイズがわからなくても、後ほど二人でお気に入りのジュエリーに代えることができます。
「リングプロポーズ(婚約指輪のあるプロポーズ)とは違い、渡す楽しみと作る楽しみがある」「予算的にこだわったダイヤモンドが用意できる」などのメリットが。
指輪以外のジュエリーを作る際にもこだわりのアイテムが作成できるため、女性からも好評なプロポーズのスタイルです。
ダイヤモンドカットの知識を身につけてとっておきのプロポーズを
ダイヤモンドカットを知ると、「ダイヤモンドの本当の価値」がわかるようになります。
プロポーズの王道は確かにダイヤモンドの婚約指輪をプレゼントすること。ですが、指輪なら何でもOKではなく、またダイヤモンドプロポーズという選択肢もあります。
ダイヤモンドにぜひこだわって、二人だけの素敵なプロポーズを演出してみてくださいね。
※本記事は宝石鑑定士 木村 勇太氏監修のもとで、執筆されています。
保有資格:GG|米国宝石学会(GIA) | GG(Graduate Gemologist)は、宝石鑑定業界で最も権威のある資格といわれるGIAの鑑定資格
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