婚約指輪のダイヤがトリプルエクセレントカットである必要性
婚約指輪(エンゲージリング)は、ダイヤモンドが主役の指輪のこと。価値の高いダイヤモンドをまとった指輪を婚約記念品としたものです。
つまり婚約指輪選びとは、ダイヤモンド選びであり、いかに最適なダイヤモンドを入手できるかが重要です。
ダイヤモンドには4Cと呼ばれる世界共通のグレーティングシステムが存在しています。
カラット(重量・大きさ)は皆さんご存知ですが、よくエクセレントカットという言葉を聞きます。
カットとは、ダイヤモンドにおける研磨の状態や質を表す指標です。カラットに次いで大切な指標ともされるカットにおいて最高等級がエクセレントカット。
よくエクセレントカットだからという広告を目にしますが、実際に婚約指輪のカットはエクセレントカットである必要性があるのかどうかについて解説したいと思います。
目次
ダイヤモンドのカットとは?
そもそもダイヤモンドのカットには、下記のような指標があります。
- EXCELLENT(エクセレント):最高等級:素晴らしい
- VERY GOOD (ベリーグッド):第2等級:とても良い
- GOOD(グッド):第2等級(良いカットの下限)
- FAIR(フェア):第4等級:普通
- POOR(プア):最低等級:貧相
言葉の通りで、素晴らしいカットから貧相と評されるカットのダイヤモンドまでがあります。
ダイヤモンドの価値を決める4Cは、4つの指標を総合的に判断しますが、カットだけは唯一人工の部分に関する指標。
元々ダイヤモンドは写真のように原石の状態。
これを人と機械の手によってカット(研磨)することで、皆さんご存知のダイヤモンドの輝きと形になります。
ダイヤモンドのこの形のことをラウンドブリリアントカットと呼び、58面体に研磨された形です。ダイヤが最も輝くカットと呼ばれています。
つまりいくら素材が良くても、カットの質が悪ければ台無しになってしまうわけです。カラットと同様に見た目に関する指標のため、重要視されるのです。
※カットのこれらクラス基準は、ラウンドブリリアントカットのみに適用されます。ファンシーカットと呼ばれる他のカット(ハートカットやプリンセスカットなど)にはカットのグレーティング基準が適用されません。そのため、婚約指輪のダイヤの基本はラウンドブリリアントカットが前提となります。
ダイヤのカットはGOOD以上なら良いと言える
上位のカットであればあるほど良いダイヤモンドに違いはありません。しかし言葉の通り、GOOD以上なら良いダイヤモンドということが必ずいえます。つまり良いカットで品定めするならば、GOOD以上であれば理屈上は、問題ないのです。
そして肉眼では、GOODとVERY GOODとEXCELLENT(エクセレント)はほとんど区別がつきません。
宝石店はよりよい価値を持つ、高い宝石をおすすめするのは当然ですが、ダイヤモンドのカットグレードは最低限GOOD以上、基本的にVERY GOOD以上であれば問題ないということを頭にいれておきましょう。
当然ですがEXCELLENT(エクセレント)カットという最高等級だけに目的を置いてしまうと、婚約指輪の価格も上がった状態の範囲で検討しなくてはならなくなります。
肉眼での見た目の印象は大して変わらなくどれも美しい範囲なのに、敢えて上だけを選択肢に入れるのはデメリットが増えます。
カットの質を無理にあげるくらいなら、カラットをあげた方が費用対効果は高くなるからです。
婚約指輪の主役のダイヤはVERY GOOD以上を基本で選ぶ
しかし婚約指輪の主役となるダイヤモンドであれば、少し話が変わってきます。
カットは天然由来の指標ではなく、人の技術に関する指標。天然のいじれない色味などの領域なら良ければ良いといえますが、カットは人の技術の質に関する指標のため、VERY GOOD(とても良いカット)以上で婚約指輪は選んでください。
ダイヤモンドには役割が2種類あります。それは主役のダイヤモンドなのか、脇役のダイヤモンドなのか。
例えばこちらの指輪。
中心にセットされているのが、主役のダイヤモンド。センターストーンと呼ばれます。
そして脇にセットされているダイヤモンドが、サイドストーンダイヤモンド。デザインのためにセットされる比較的小粒なダイヤモンド達です。
主役のダイヤモンドであるならば、プロはVERY GOOD(ベリーグッド)以上でとても良いと言える以上のダイヤである必要性が基本的にあると考えておきましょう。
要はGOODの良いは、比較的普通。という印象に近いからです。
主役に値するダイヤモンドであれば、ただ良いダイヤモンドよりも、とても良いカットのダイヤモンドの方が見栄えも印象も良いからです。
1カラットなどの大きなカラット以上だと少しの指標で価格が大幅に変動してしまうため、GOODを許容するケースもありますが、婚約指輪の主役たるダイヤモンドのカットはVERY GOOD(ベリーグッド)以上で選ぶようにしましょう。
エクセレントは絶対ではない
以上のことから、婚約指輪のダイヤモンドはEXCELLENT(エクセレントカット)である絶対的な必要性はありません。むしろVERY GOODからを選択肢に入れることで、優れた選択肢を得ることができます。エクセレントカットにこだわるメリットはあまりありません。
エクセレントカットだけに絞ってしまうと選択肢が狭まってしまいます。選択肢が1つだけしかないのですから。しかしベリーグッドを入れることで広い選択肢を得ることができますね。
カラット毎におすすめも変わります。
- 〜0.3カラット:エクセレントカット
- 0..4カラット:ベリーグッド
- 0.5カラット:ベリーグッド
0.3カラットは全国の平均値のため、エクセレントカットが非常に人気です。少しでも特別なダイヤモンドを選んだというメッセージ性が欲しくなるからです。
0.3カラットを超えるとカラットで特別感が徐々に生まれてくるため、ベリーグッドからを選択肢に入れます。
トリプルエクセレントカットとは?
宝石店や婚約指輪・結婚指輪専門店などに行って婚約指輪の接客を受けると、「トリプルエクセレントカット」というキーワードを聞く機会やおすすめされる機会があります。
エクセレントは1つだけなのに、トリプルエクセレントカットってなんだろう??と疑問に思われる方もいらっしゃうかと思いますが、実際にトリプルエクセレントカットというクラスは存在しません。
トリプルエクセレントカットとはエクセレントのさらに上のクラスがさらにあるわけではなく、カット評価がEXCELLENTのダイヤモンドで、さらにカットの評価基準になる詳細項目の中の、対象性と研磨状態がともに EXCELLENT(エクセレント)の評価が出たものを、トリプルエクセレントと呼んでおり、いわゆる呼称に近いものです。
実際にエクセレントカットであればそれで問題ないです。その中の項目の話なので、こだわってもあまりメリットはありません。エクセレントかベリーグッドか。二択で検討すれば良いです。
ちなみにトリプルエクセレントカットだからといって値段が上がる要素は基本ないのですが、こういった呼称をつけて付加価値を演出することで、値段を上げていく。という手法は存在します。あまりこだわらないようにしましょう。
なぜエクセレントだらけ?
特に日本の宝石店やブランドはエクセレントカットが大好きです。
なぜならブランド力のある宝石店が少ないからです。
そのため日本の宝石店やブライダルリング専門店(婚約指輪や結婚指輪の専門店)は、うちの婚約指輪のカットはエクセレントカットです!という打ち出しが非常に多く依存するようになりました。差別化を少しでも図るためです。
また最上位のカットと宣伝することで、販売価格を上げ、単価をあげることにもつながります。
これらの理由からエクセレントカットがよく広告でも出て来るわけです。
しかしこれらはお店の都合であって、関係はありません。ベリーグッドから自信をもって選択肢に入れましょう。
例えば欧米のラグジュアリーブランドではエクセレントカットもありますが、そればかりではありません。グッドから選んでいるブランドもありますし、ベリーグッド以上であれば高級ブランドでも問題なく選んでいるクラスたちです。エクセレントカットに固執しているのは、日本の市場ということです。
またハートアンドキューピッド(ハートアンドアロー)やトリプルエクセレントという特殊なカットもよく宣伝されていますが、あまり関係ありません。肉眼では視認できませんし、あくまでカットの最高等級はエクセレント。気にせずに検討をしましょう。
ダイヤモンドの4Cについて詳しくは下記の記事も合わせてご覧ください。
関連記事: 婚約指輪、ダイヤモンドの4Cで優先すべきポイントは?
また最後に補足ですが、昨今プロポーズの基本方法となっているダイヤモンドプロポーズ(婚約指輪の主役となるダイヤからプレゼントして、あとからデザインを決める方法)においても、ダイヤモンドだけだからといって、エクセレントカットだから見た目に大きく変化が出るわけではありませんので、その点もご安心を。
予算に合わせてカットはVERY GOOD以上からエクセレントにこだわりすぎずに、最適なものを選びましょう。
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